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地震のあとに外壁のひび割れを見つけたら、まず「幅」と「周囲の黒ずみ」を確認してください。
そして重要なのが保険の話です。地震によるひび割れは、火災保険では補償されません。地震保険に加入している必要があります。
ここを誤解したまま業者に相談すると、話が食い違います。
2026年8月23日未明にも、茨城県南部を震源とする地震で東京・埼玉・千葉などが震度5弱を観測しました。
「揺れたあと、壁にひびが入っている気がする」——そんなときに何を見て、どう判断すればいいのかを、東京・神奈川・埼玉で外装リフォームを手がける専門店としてまとめます。
意外に思われるかもしれませんが、日本の耐震基準は「倒壊させないこと」を目的に作られています。「ひび割れが出ないようにする」ためのものではありません。
ですから、地震のあとに外壁へひび割れが入ること自体は、必ずしも「家が危険」を意味しません。
建物は地震のとき、単純に横揺れするのではなくねじれるように揺れます。硬い部分と柔らかい部分がぶつかり、その境目に割れが生じる——構造上、ある程度は避けられない現象です。
とはいえ「放置していい」わけでもありません。ひび割れから水が入ることが、本当の問題だからです。ここから先が判断のポイントになります。

ひび割れを調べると、必ず「0.3mm以下はヘアークラック、0.3mm以上は構造クラック」という説明が出てきます。
そして多くのサイトが「国土交通省が定めた基準」と書いています。ここは正確に知っておいてください。

「ヘアークラック」「構造クラック」という用語自体に、法令上の明確な定義はありません。これらは業界で慣用的に使われている呼び名です。
0.3mmという数字も、業界で目安として広く使われているものであって、「0.3mmを超えたら構造クラックと法律で決まっている」わけではありません。
実際に存在する公的な基準は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)第70条にもとづく「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)です。
これは、不具合事象の発生と構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性との相関関係を定めたもの。
内容も「0.3mm=構造クラック」という二分法ではなく、幅0.3mm以上0.5mm未満は瑕疵の可能性が「一定程度」、0.5mm以上は「高い」という段階的な整理になっています。
さらに押さえておきたい点が3つあります。
つまり、幅の数値だけで家の安全性を断定することはできません。「0.3mmだからセーフ」「0.4mmだからアウト」という単純な話ではないのです。数値は重要な目安のひとつ、と捉えてください。
現場で私たちが重視しているのは、幅よりもむしろ「水を吸っているかどうか」です。
特に注意したいのが、ひび割れの周辺が黒ずんでいるケース。これは割れ目が水の通り道(水道/みずみち)になり、壁が水を吸ってしまっているサインです。
放置すると外壁材そのものが変形したり、ひび割れに段差ができたり、内部の防水シートに達して雨漏りにつながることがあります。
モルタル外壁の場合はさらに厄介です。モルタルは内部にラス網という金網が入っており、水が入るとこの網が錆びます。
中から発生した錆は、表面を塗装してもまた出てきてしまう——だからこそ「水を吸わせないこと」が何より大切なのです。
地上や手の届く範囲でできるチェックに絞って挙げます。屋根には絶対に登らないでください。転落の危険があります。
| チェック箇所 | 見るポイント |
|---|---|
| 外壁のひび割れ | 幅、そして周囲が黒ずんでいないか |
| サッシ(窓枠)まわり | 割れが集中していないか。揺れの力が集まりやすい箇所 |
| 室内の壁・天井 | クロスの破れ、連続した亀裂、建具の建て付けの変化 |
| 基礎(コンクリート部分) | ひび割れ、さび汁の有無 |
| タイル外壁 | 浮き、剥がれ(落下の危険) |
| 屋根(地上から見える範囲) | 瓦のズレ、棟のゆがみ ※登らない |
見つけたひび割れは、写真を撮って日付とともに記録しておいてください。保険の申請でも、進行の確認にも役立ちます。
基礎に太いひび割れを見つけると驚かれますが、よく見ると基礎そのものではなく、表面に塗ってあるモルタルが割れているだけというケースがあります。
モルタルが浮いているために、実際より太く見えているのです。この場合、緊急性は高くありません。
ただし、コンクリートに水が浸みると内部の鉄筋が錆びて強度に影響するため、埋められるなら埋めておいたほうがよいのは確かです。
判断に迷う場合は、写真を撮って専門家に見てもらうのが確実です。
ここが、もっとも誤解の多いポイントです。
地震・噴火・これらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失の損害は、火災保険では補償されません。
補償を受けるには、地震保険に加入している必要があります。
台風や強風の被害なら火災保険の対象になりますが、地震は別枠。
「火災保険に入っているから大丈夫」と思っていると、いざというときに補償を受けられません。まずご自身の保険証券を確認してください。
地震保険は、火災保険のように「かかった修理費を査定して支払う」仕組みではありません。
損害が全損・大半損・小半損・一部損のいずれかに認定され、あらかじめ決まった割合で支払われます。建物の損害は主要構造部(壁・柱・床など)の損害により判定されます。
そして知っておいていただきたいのが、「一部損」でも保険金は出るということです。住む分には影響を感じない程度の損害でも、補償を受けられることがあります。ひび割れも対象になり得ます。
ただし、期待しすぎないための現実的な話もしておきます。
たとえば火災保険2,000万円で契約している方の場合、地震保険はその半分の1,000万円が上限です。
一部損の支払割合は5%なので、1,000万円 × 5% = 50万円。
「思ったより少ない」と感じるかもしれません。
ただ、ひび割れの補修であれば、50万円あればかなりの範囲を直せます。決して小さい額ではありません。
地震保険に加入している方は、ご自身で加入先の保険会社・代理店に連絡するのが基本です。
そこから調査や必要書類の案内があります。リフォーム会社に相談した場合も、「まず保険会社に電話してください」と案内されるのが通常の流れです。
なお、大きな地震のあとは震源地に近い地域が優先されるため、離れた地域は対応が後回しになることがあります。時間がかかっても、それが通常だと理解しておくと落ち着いて対応できます。
保険が関わる災害が起きると、それを狙った業者が必ず増えます。
保険を使って直すこと自体は、まったく問題ありません。
注意すべきは、「保険金が下りるから」を前面に出して営業してくる会社です。長年の経験や知識にもとづいて工事をしている人たちではないことが多く、見積もりの内訳が適当だったりします。
そして、はっきりお伝えしておきます。
「この会社で工事しないと保険が下りない」ということはありません。保険の可否と施工業者は無関係です。そう言ってくる業者がいたら、その時点で疑ってください。
また、地震のあとは「無料点検します」という飛び込み訪問も増えます。素性の分からない相手を屋根に登らせない、その場で契約しない——この2つを守るだけで、多くのトラブルは防げます。
A. 使えません。地震を原因とする損害は火災保険の補償対象外で、地震保険に加入している必要があります。まず保険証券で、地震保険を付帯しているか確認してください。
A. 「一部損」に認定されれば支払われます。住む分には影響を感じない程度の損害でも補償を受けられることがあります。まずは加入先の保険会社・代理店にご相談ください。
A. 幅だけで安全性は判断できません。0.3mm未満でも、周囲が黒ずんでいる(水を吸っている)場合は注意が必要です。逆に細い表面だけの割れなら緊急性が低いこともあります。幅・場所・黒ずみの有無を含めて総合的に見る必要があります。
A. いいえ。「構造クラック」「ヘアークラック」は業界の慣用語で、法令上の明確な定義はありません。公的には、品確法にもとづく告示が「瑕疵が存する可能性」を段階的に整理しているのみです。
A. 屋根に登るのは大変危険です。地上から見える範囲での確認にとどめ、屋根の状態はドローン診断など、人が登らずに確認できる方法をご利用ください。
地震のあとに家のことが気になるのは当然です。ただ、あわてて契約する必要はありません。
まずは状態を正しく把握するところから始めてください。東京・神奈川・埼玉・千葉の一部で外壁・屋根が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。