外装リフォームの知識

素材の名称

屋根の種類

スレート瓦

一般的な戸建てで使用されている屋根材は、スレート瓦・トタン・瓦が多い。

スレート瓦

暑さが5mmほどの板状の屋根材。(厚みは商品によって様々。)
主成分はセメント。
「コロニアル」や「カラーベスト」と呼ばれることもあるが、これらは商品名を指しており、総称は”スレート瓦”。

カラーベスト コロニアル

”クボタ”(現在の”ケイミュー”)というメーカーから製造されていた屋根材。アスベストが入っているため、現在は製造されていない。

パミール

パミール

”ニチハ”というメーカーから1996年~2008年ごろに製造されていた屋根材。”抄造法(しょうぞうほう)”と呼ばれる特殊な作り方をされている。
ミルフィーユのように、薄いセメントの層を重ねて圧縮して製造されており、経年劣化が進むと表面が酷く剥がれてしまう屋根材。
塗装しても中から剥がれてしまうため、塗装工事は不適切。重ね葺きや葺き替えをする必要がある。

ザルフグラッサ

”クボタ”(現在の”ケイミュー”)から2001年~2005年ごろに製造されていた屋根材。”ザルフ”とも呼ばれる。
その他多くのスレート瓦と比べ、経年劣化によるひび割れが酷く、広範囲に現れる。割れた屋根が落ちてしまうケースも多いため注意が必要な屋根材。
塗装工事は適切ではない。

レサス

”松下電工株式会社”(Panasonic)が1999年~2003年ごろに製造していた商品。
細かいひび割れや、大きく深いひび割れが発生する。
塗装工事は適切ではない。

シルバス

”松下電工株式会社”(Panasonic)が2001年~2006年ごろに製造していた屋根材。レサスの上位グレード。
レサス同様にひび割れが多く発生するため、塗装工事は適切ではない。

コロニアルNEO(ネオ)

”クボタ”(現在の”ケイミュー”)から2001年に発売されていた屋根材。現在は製造中止となっている。ザルフと同じように、ひび割れが多く発生しやすく、割れた屋根材が落下しやすい。
塗装工事は適切ではない。

アーバニー

クボタから1982年~1994年ごろに発売されていた屋根材。
その他のスレート瓦と比べると、形が特徴的。
この屋根材も経年劣化により割れが多く発生し、落下しやすい傾向がある。塗装時にタスペーサーを挿入することが困難なため、縁切りの作業が非常に手間となる。基本的には塗装工事より、重ね葺きや葺き替えが良い。

ワンダセラストーン

KMEW

発売期間は1998年~2001年。アスベスト(石綿)は含まれいないが、2001年~2002年に製造された「ワンダ・ストーン」にはアスベストが含まれている。

セイバリーNEO

2001年に”ケイミュー”から販売されたノンアスベストの屋根材。波状の形が特徴的。

塗装工事よりも重ね葺きや葺き替えがオススメ。

かわらU(ユー)

かわらU

大手ハウスメーカー”積水グループ”から1990~2007年に製造されていた屋根材。2004年にアスベストの使用が禁止されたため、製造年によってアスベストを含有しているものと、含有していないものがある。
抄造法(しょうぞうほう)という製造方法がされており、”パミール”と同様に層間剥離が起きる。
また、ひび割れも多く出やすい。

塗装工事は適切ではない。
形状が特殊なことから「波型スレート」とも呼ばれるが、かわらU以外にも波型のスレートがあるので、形状から安易に判断しない方が良い。

瓦(かわら)

粘土を焼いて成形したものを指す。釉薬を表面に塗って焼いた瓦は綺麗な光沢があり、陶器瓦と呼ばれる。燻す作業を加えたものは、「いぶし瓦」と呼ばれ、いわゆる「いぶし銀」の色合いになる。

セメント瓦

粘土を焼いたものではなく、セメントを瓦状に成形したもの。
粘土の瓦と比べると耐久性が低く、経年劣化により石灰が溶け出し、スカスカになってしまう。定期的に塗装をするか、葺き替える必要がある。

モニエル瓦

セメント瓦の一種。表面にスラリー層という特殊な層があり、通常の塗装で施工すると塗料が剥がれてしまう。スラリー層をしっかり除去した上で塗装を施すか、葺き替え工事を行なうのが一般的。

アスファルトシングル

アスファルトシングル

“シングル材”とも呼ばれる。非常に柔軟で軽量な屋根材。
グラスファイバーの基材にアスファルトを浸み込ませ、表面に様々な色の砂粒が覆っている。

ガルバリウム鋼板(こうはん)

ガルバリウム屋根

「ガルバニウム」「ガルバニューム」とも表記される。
鋼板の表面にアルミと亜鉛のメッキを施した金属板。見た目ではトタンとの区別が難しい。
錆に強く、非常に高耐久のため改修工事で使用されることが多い。
屋根材や外壁材などに使われる。

ジンカリウム鋼板(こうはん)

”ガルバリウム鋼板”と素材はほぼ同じ。”ガルバリウム鋼板”とは商標登録している会社が違う。また、ジンカリウム鋼板の商品は表面を細かい石粒でコーティングしている場合が多いため、「石粒が付いている=ジンカリウム鋼板」と勘違いされてしまうことがある。
ガルバリウム鋼板と同じく、非常に耐久性の高い素材。

目次

外壁の種類

一般的な戸建てで使用されている外壁材は、窯業系サイディングボード・モルタル・ALCが多い。

サイディングボード

「サイディング」と略されることが多い。現在主に使用されているサイディングボードは、「窯業系」と「金属系」の2種類に分かれる。(その他の種類もあるが、あまり使用されていない。)
建築時はサイディングボードをパネルのように躯体に張り付けていくため施工が早く済み、モルタルを左官するような技術も必要無いため、現在多くの住宅で使用されている。

窯業系サイディングボード

セメントを主成分としたもの。金属系より多く使用されている。
表面には塗装が施されているため水を弾くが、経年劣化すると水を弾かなくなり、吸水してひび割れや変形が発生してくる。基本的には定期的な塗装が必要。また、目地や窓廻りにシーリング材が充填されていることがほとんどで、このシーリング材の修繕も重要。

金属系サイディングボード

ガルバリウム鋼板などの金属素材を使用したサイディングボード。

ガルバリウム鋼板のものは窯業系と比べると耐久性が高いが、その分材料費も高くなる。見た目は金属らしいデザインの物から、モルタル風の物、タイル風の物と様々。

モルタル

モルタルは、砂とセメントと水を混ぜ合わせて作られた素材。
このモルタルをラス網と呼ばれる金網に左官(こてを使って塗り付ける作業)したものが、モルタル壁。
左官職人が施工する必要のない「ラスカット」と呼ばれるモルタル壁も存在する。

ラスカット

ベニヤ板に骨材が塗られた状態で販売されているもの。現場で左官をする必要が無いため、建築時の施工性が良い。
ただ、知識の無い業者が施工した場合、ラスカットの裏に防水シートを設けなかったり、ラスカットとラスカットの繋ぎ目の処理をしっかり行なわなかった、という事例もある。その場合は非常に雨漏りに繋がりやすい構造になってしまうため、改修工事も大掛かりになることがある。
経年劣化や地震により割れが発生すると、通常のモルタルと違ってラスカットの繋ぎ目部分が割れるため、直線・直角に割れることが多い。

モルタルの表面仕上げの種類

モルタル表面の仕上げの種類は年代によって流行が変わる。
吹付けの種類は主にリシン吹付・タイル吹付・スタッコ吹付の3種類が多い。
吹付け作業は、専用のガンを使用して外壁に噴射して模様をつける。

リシン吹き付け仕上げ

吹付仕上げの中では、最も薄い仕上がりの吹付け。
安価に仕上げられるが、他の吹付仕上げと比べて劣化が早く、築10年ほどでひび割れが発生するケースが多い。

タイル吹き付け仕上げ

リシン吹きより厚みのある吹付仕上げ。

スタッコ吹き付け仕上げ

タイル吹きよりさらに厚みのある仕上げ。凹凸が非常に大きく、重厚感があり耐久性も高い。

ジョリパット仕上げ

吹付けではなく、コテなどを使用して手作業で行なう仕上げ。
「ジョリパット」はアイカ工業というメーカーの商品名。
くしやコテなどを使って様々な表情をつけることが出来るため、洋風・和風どちらのデザインにも対応できる。ジョリパット仕上げの外壁の上に塗装工事を行なう場合は専用の塗料を使用するか、吸い込み止めのシーラーなどを塗装しておかないと膨れや剥がれなどの不具合が発生しやすい。

その他

「珪藻土」「リシンかき落とし」など、他にも様々な種類がある。

ALC(エーエルシー)

ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略。軽量気泡コンクリートとも呼ばれる。
へーベル板(ばん)と呼ぶ人もいるが、ヘーベルハウスがALCを使用することが多いためこの呼び方をされることがある。
コンクリートの特徴を活かしながら重量を軽くした素材。
大きな特徴は、内側に軽石のように気泡が多く存在していること。
ALC は耐火性・断熱性に優れているが、一度水が浸入してしまうと様々な場所に広がりやすいため、雨漏りを避けるためには特に表面の防水が重要となる。
また、シーリングが使用されている範囲が非常に広く、シーリング部分の修繕に費用が多くかかる。

RC(アールシー)/ 鉄筋コンクリート

RC(鉄筋コンクリート)は基本的には建物の構造のことを指すが、RC造の建物で表面をコンクリートの風合いにしてあるものは、表面の仕上げ自体をRCと呼ぶことがある。(”打ちっぱなしコンクリート”など)
コンクリートの表面に撥水材が塗ってある場合や、ベタ塗りの塗装がされている場合もある。

タイル外壁

タイルは、表面の滑らかなタイルや、レンガ風のタイルなど、様々な見た目・サイズのものがある。
タイルの形などによって、四五二丁(よんごーにちょう)など、色々な呼ばれ方がされる。
モルタルの上にタイルが貼られている場合や、ALCの上に貼られている場合、RCの上に貼られている場合など、工法も様々。
基本的にはタイルの上から塗装はしないが、タイルの種類によっては塗装が可能な場合もある。

その他

その他にも様々な外壁材があるが、現在戸建てで利用されている外壁材は上で挙げたものがほとんど。

今後も少しずつ、情報を追加していきます。

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